シンフォニックメタル、というジャンルがあるのは皆さんご存知の通り。
剣を振り!魔法を放ち!精霊の力を借りてドラゴンを討伐する!
エメラルドソードの物語は、いわば軽やか華やかファンタジー。
一方で、このBlind Guardianは、もう少し泥臭いファンタジー。
剣と甲冑に身を包んだ大軍の行進。泥に塗れ、血に塗れ、邪悪なる者に立ち向かう。
静かに、力強く、戦いに赴きたい日にはこの曲を(なんて日だ!)
Blind GuardianのTime Stands Still。さぁ、立ち上がれ!
てかね、Blind Guardianってバンド名よ。
なんですかお客さん、伝説の騎士か、召喚獣の方ですか?
ジャケ買いならぬ、バンド名買いしたって問題ないくらい。Blind Guardianなんて名前のバンドの曲が、カッコ悪いわけがないでしょう?そうでしょう?
シンフォニックパワーメタルと評される彼ら。この曲が収録されたアルバムタイトルはNightfall in Middle-Earth。そう、中つ国。
いわゆる「指輪物語」をモチーフとしたコンセプトアルバムとなっております。
前述の通り、ファンタジーにも色々。剣と魔法の大冒険!FFⅤくらいの明るめのファンタジーもあれば、漫画ベルセルクのような重めのファンタジーもある。
悪や魔物が恐怖と共に描かれ、闇や死がすぐそばにある。言葉はおかしいけれど、リアルなファンタジーとでも言うのか。
正にヘヴィメタルよろしく、身にまとう甲冑は実に重々しく、振り下ろす武器の一撃は、斬撃と言うよりも殴打。
魔物の放つ一撃は凶悪で、岩ををも砕き、一薙ぎで鋼鉄の軍勢をたやすく千切るほどの脅威。
勇気と正義の心で悪へ立ち向かう、なんて生易しい表現はままならず。
理不尽に降りかかる死にあらがい、泥を啜り、血に塗れながら、迫りくる恐怖に背負いながらも尚、守る者のために立ち上がる。そして人々は散っていく。
そんな方向性の胸熱感を持った物語。
Blind Guardianの良さは、世界観にもマッチした無骨さにある。
ヘヴィメタルを軸に、様々な音色を重ねてシンフォニックに仕上げるというよりも、あくまでもギターサウンドを駆使し、ヴォーカルやコーラスを重ねることでシンフォニック感を演出する傾向が強い。
「シンフォニック」なんてほんの小さな形容詞でしかない。芯に有るのは純度100%のパワーメタル。
これぞ正に、バチクソガチファンタジーメタル!
我々世代は、直接的・間接的に指輪物語の影響を受けまくっている。
ウィザードリィ、ドラクエ、ファイナルファンタジー。正に王道と言える作品も指輪物語の影響を受けているとのこと。
我々にとっては「犬」「猫」と同じくらいの常識レベルで認知している、ドワーフやエルフと言った概念の根本というのだから、脱帽するしかない。
そんな中で公開された映画ロードオブザリングは、本当に心躍ったなぁ。その中で一番好きなシーンが、大一番の戦い向かう前に人間の王が演説する話。
この曲は、なんとなくそのシーンを彷彿とさせる、偉大さや気高さを感じることが出来る。
要約してしまえば、いつか大事な人は消えてしまう、自分も終わりを迎え、この世界も消えしまう日が来る。
けれど、それは今日ではない!
生きている限り、逃れられない「終わり」がいつか必ず来てしまう。
けれど、それは今日ではない!
いつか来る「その日」に怯える心は消せないけれど、「今日ではない」と己を奮い立たせて生きていくしかないんだよなぁ。
「今日」を「その日」ではなくすために。今日も必死で生きてやりましょう。