どうしたって辛い時。何をやっても面白くない時。あるよね?
そんな時は、頭を空っぽにしてメタルを聴く、というのは小学校低学年くらいで習う一般常識。
しかし、そんなメタルの中でも特に「そういう時こそ聴きたい」メタルという物があります。これは中学で習うかなぁ。
こてこての関西弁で、手製のヘンテコな鎧兜を身にまとうハゲ(ハゲちゃうわ、カットしとんねん)。その出で立ちとは裏腹に、この漢...
闘う魂、貫く心。鋼の化身のような最強の漢。
The 冠のイロモノ。さぁ、ヘドバンの用意はよろしくて?
The 冠は、体制としてはヴォーカルの冠からなる一人のアーティスト。
これはロック系のヴォーカルアーティストによく見かける形で、体制としては一人のアーティストだけれど、「いつものメンバー」的な存在が居て、楽曲作成~レコーディングからLiveまで、実質の体制としてはバンドそのもの。
冠のヴォーカルポテンシャルはお聴きの通り。歌唱力は圧倒的。
バンドメンバーと言っても差し支えのない面々は、詳細まで述べるとキリがないほど、それぞれがガチガチのガチ。
特にK.A.Zは重低音のカッコ良さもありつつ外見もめちゃくちゃガチ。まるで漫画のキャラ。街で見かけたら、〇される前に絶対逃げた方が良い(褒め)。
出で立ちといえば、冠はお手製の鎧兜姿が正装。カッコ良さと面白さの絶妙な塩梅をついてくる姿と立ち振る舞いは、正にイロモノ。
はい、ここでいつものやつ。本当に二日に一回くらいのことで申し訳ないんだけれど、
見た目がおかしなやつの音楽ほど、楽曲はガチ。
まずは音に注目して爆音で聴いて欲しい。
メイン部分の音はもはや炸裂音とか、爆裂音に近い。ヘヴィなギター、ゴリゴリのベース、音質が最高で笑っちゃうような手数のドラム。
このドラムのレコーディングのこだわりが個人的な聴きどころの一つ。ドラムと言っても本当に色々な音の出し方がある中で、本当にこのあたりのアルバムは、ドラムRECに脱帽するしかない。
トリガ等を使わずに生音質にこだわっているような記事をどこかで目にした記憶がある。目の前で弾けている様子が目に浮かぶようなスネアの感触。迫りくるようなバスとタム。
ドラム音だけでどんぶり飯ですわ。ドラムをいじった事がある人は共感してくれるはず。
そこに載せるのが、歌いたくなるようなメロディ感たっぷりのヴォーカル。これはもう、カツカレーみたいな鉄板王道構成ですよ。これが嫌いなやつなんかおらん。
この曲「イロモノ」を爆音で聴き、整ったあなた。次は歌詞に注目して欲しい。
「やめろっと~言われても~」という歌。これが通じるのは年寄りだけか...さらっと言えば、面白おかしいおじさんの定番の鼻歌をもじっている。
やめろと言われてもやめられませーん。周りからアホと言われてもこれしか出来ませーん。こんな、ちょっと自虐したストーリーの裏に隠された熱すぎるメッセージ。
あやめた心にうつる、ただモノクロの日々
実はスタートから滅茶苦茶リアルな現実。色とりどりのめくるめく日々を生きている人なんてどれだけ居るだろう。じっと心を押し殺し、ただ耐え続け、モノクロの世界を淡々と生きる。
そんな我々の日々を
いかれたイロモノが彩るから!
やめろといわれても、やめられない。これしか出来ない。大事なのはその理由。無能だから?不器用だから?表面上は自虐的なそういう意味もあるかもしれないけれど、メタルを唄う漢達はみな背中でこう語る。
これが俺の選んだ生きる道だから。(だからそれ以外のことなんてやらねぇよ?)
細かい歌詞のニュアンス、センスも本当に熱い。
俺はイロモノだ、これしか出来ないんだ、カラス(周りの人間)があほうあほうと言ってる気がするよ。「ならばそうだろう」という自虐の歌詞で始まって...
これが曲の後半では、泣いている君があほうあほうと笑うまで「なぁ、いいだろう?」と優しく寄り添ってくれる。
最後にはカラス(周りの人間)があほうあほうと笑うならば「ならばそれで良い!」と言い切ってくる。
世間一般に、あほうだなんだと笑われたって、そんなことは構わない。
悲しみにくれるお前が笑顔になるまで、俺はこの音楽をやり続ける。
この生き方は変えられないし、変える気もねぇ。これが俺の生きる道だから。
決して華やかなな売れっ子ではない。苦労を重ねて、歳も重ねて、それでも自分の道を歩き続けて見せている、本物の漢の背中が放つこのメッセージ。これが爆裂メタルの楽曲に載せて届けられる。
どこまでもついていきますわ、兄さん!