マイツの小部屋

陰キャのための音楽ライフ

Friend_→Pia-no-jaC← 音色が語る物語

夕日が射す教室。

人のまばらな校内を見渡すと、遠くから聞こえてくる誰かの声。

校庭からはうっすらと土煙の匂いを感じながら、そよ風を少し肌寒く感じる帰り道。

 

多くの人に刻まれているであろう、なんとなく共有出来そうな想い出。

誰もがどこかで経験したであろう、特別な意味は持たない、ありふれた瞬間。

 

何でもない瞬間でも、思い出すと不思議とノスタルジーがあふれ出す。

 

Pia-no-jaCのFriend。歌詞のないインスト音楽でありながら、それぞれの脳裏にそれぞれの物語が紡がれていくはず。

Friends

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ピアノとカホンの2ピースで独自の音楽を奏でる→Pia-no-jaC←。変わったアーティスト名の由来は、→から読めばPiano、←から読めばCajon(カホン)、という理由を知ればあーなるほど、といった造語とのこと。

カホンは木箱のような形をした打楽器で、普通に叩けばただの箱、技術を持って叩けばとんでもなくイカした音色を奏でる不思議な楽器。

 

このピアノとカホンでオリジナリティ溢れた「→Pia-no-jaC←」としか表現できないようなジャンルの音を出すこの方達。そりゃあもう腕前の抜群、というか演奏技術で真っ向勝負するしかない形ですから、とにかく凄いわけ。

いつでも楽しそうに音楽をやる二人だけれど、Liveのここぞという所でお互いの間を読み合うひりつくような緊張感もあったり。

 

参考までに、動画も貼っておきます。違う曲だけどね。

youtu.be

 

そして本日のこのFriendという曲は、比較的初期の頃に発表されたアルバム、This way upのエンディングを飾る立ち位置。

どのアーティストにも共通して、初期衝動が詰まった楽曲ってのは本当にエモい。それぞれが出せる音、出したい音、アウトプットしたくてたまらないエネルギーが凝縮されている。

 

この曲のメインメロディは、いわゆる「キンコンカンコン」というか、チャイムの音、と言えばつたわるだろうか?学校で生活していれば耳タコになるメロディ。どうしたって、「あの頃」が思い出される。

 

このメインメロディを中心として、時にはとても静かに、時には迫力を持った音色が放たれる。ピアノならでは美しい旋律と、しっかりと骨太な低音。

そこにカホンとパーカッションで「ここぞ!」という所にアクセントが散りばめられ、音として本当に心地よく、素晴らしい仕上がりになっている。

 

当然「歌」ではないので歌詞はなく、言葉で何かが語られることはないのだけれど、その音色が不思議と情景を映し出す。

 

音色が語り、物語を紡ぎ出し、心の中に映像を映し出す不思議。

 

→Pia-no-jaC←はこういう「必殺のバラード」が何曲もあって、これを生演奏で聴くことの感動と言ったらない。

Liveの音調整もすごく好みで、ロックバンドよろしく、カホンを一発叩けば重低音が内臓に響く。ピアノ=お上品、みたいなイメージは無用。激しい曲はどこまでも激しく、ロック好きにもお勧め。

この曲に出会った頃は、あこがれて何度も練習しました。結局マスターは出来なかったけれど。

 

 

 

こういう、青春を想起させるような場面に出くわすといつも思う。確かに自分にも学生時代はあって、学校にだって通っていたけど、思い出して甘酸っぱくなるような、楽しい学生生活や青春なんて無かった。

漫画や小説、映画やドラマ、自分ではない友人知人の青春物語。そういった物で、自分の脳内に記録されたかつての記憶を、ちゃっかりと都合の良い感じに改ざんしているんじゃないだろうか。

青春のおすそ分け、と表現すると、何だか聞こえは良いね。