お疲れー。
ん?どうしたどうした?何だか浮かない顔だな。
ほー...そうかそうか、そいつは解せねぇ話だねぇ。災難だったな。
まぁまぁ、とりあえず一杯どうよ?
え?とにかくムカついて仕方ない?今にも暴れ出しそう?
しょーがないなぁ...
じゃ、こいつを爆音でかけてやるから、好きなだけ暴れてけ。
陰陽座の必殺スラッシュナンバー、骸。
ある意味では影陽座で一番好きかもしれないこの曲。ストレスが溜まりまくっているそこの貴方!存分に堪能していただきたい。
まずは何を差し置いても、まずは新譜発売情報が嬉しくて仕方がない。
この瞬間がもう来ないのかも?なんて、ほんの僅かに想像してしまったことがある。そんなバカげた想像を、彼らは見事に一笑に付してくれた。ありがたい...本当にありがたい。
今は来る2023/1/18を、座して待つのみ。もちろん全裸待機だ。
さて...陰陽座をざっくりと簡単にご紹介するならば、
・その出で立ちも楽曲も、魑魅魍魎/妖怪メタルがメインモチーフ。
・超絶女性ヴォーカルと低音男性ヴォーカルのツインヴォーカル体制。
・音像はキャッチーさをしっかり持たせた正統派メタル。
といったところでしょうか。比較的ライト層でも聴きやすく、主題歌等で知っている人にとっては「ヘヴィメタル」というジャンル分けに困惑する方も居そう。
しかし本日ご紹介のこの骸は、ゴリッゴリのスラッシーなヘヴィメタルです。もうね、たまんないの。
そもそも、バンドの音楽性という物は常に変化し続けるもの。その時期その時期のバランス感覚、塩梅というものがあるけれど、自分はこの曲が収録されたアルバム「魔王戴天」の頃がすごく好きだなぁ。
まずイントロよ。ゴリゴリのギータサウンド、なだれ込むようなドラム。低い男性ヴォーカルのシャープなシャウト(?)を皮切りに展開される高速スラッシュ。
これで、首振らねぇ奴居るのか?
自分的には終始この展開でもどんぶり飯三杯くらい行けるのだが、ここで陰陽座がずるいのは女性ヴォーカル黒猫の存在。
荒々しい曲調にしっかりと同調しつつも、ハイトーンのクリーンヴォイスが展開することで、楽曲全体の仕上がりは一気にマイルドになってくる。しかもこの黒猫の声はただならぬ力強さも併せ持つので、全体の力強さは衰えない憎らしさ。
こうして出来上がった「綺麗な歌声の響くスラッシュ」という類を見ない心地よさに酔いしれている時に訪れるもの。
そう、これぞメインディッシュのギターソロ。これがまだ旨い。ここまでこれだけの展開を見せた楽曲で、ツインギターのバトルが生易しいワケがない。
そして最後には和風テイスト且つ神秘的な雰囲気を纏わせつつ、非常に綺麗に締めくくるという、終始陰陽座にしか出来ない展開を見せてくれる。
今まで、何度こういう曲に救われてきただろうか。
辛い時、悲しい時、怒りに身悶える時。そんな時は部屋の片隅で、ヘッドホンを身に付け、ただただ爆音の中に身を委ねる。
この瞬間だけ、人生が、世界が、良質な音楽のみが存在する理想郷になる。
そこには怒りも哀しみも無い。嫉妬も恨みも無く、何なら喜びも幸せも無いのかも知れない。
ただ無心に、そこに音だけがある世界。何度も何度もその世界に逃げ込み、この世界から逃避することで、心の平穏をギリギリ保つ日々。
もう何十年もそうやって、自身の世界の均衡を保ち続けている。