メタル、メタルと言うけれど。HR/HMという通り、根本にあるのはロック。
今の時代は、もうそんなことはないのかも知れないけれど、ロックの根底にあるのは鬱屈とした何かを発散させるような、世の中のクソな部分に拳をあげるような、そんな心意気も含まれている。と思っている。
「やぁ仲間達!世界は今日も最高だよね!」というノリが悪いなんて全く思わないんだけれど。やっぱり「クソが!こんな世の中終わってやがるぜ!」なんて、満たされない何かを垂れ流しながら、それでも必死にもがく姿みたいな物に、安心感を覚えてしまうんです。
言うなれば、ロックは世界に対してお洒落に愚痴をこぼせる手段(個人の感想です)。
ニューメタルと呼ばれて一世を風靡したKronのGot The Life。お洒落でちょっとダウナーな曲に身を委ねながら、満たされない心をしっかりと抱えて今週もやっていきましょう。
ひと口にメタル好きと言っても好みにばらつきはあるもので。私の主戦場はパワーメタルやメロスピ、メロデス、といった「ちょっと古めのベタめのメタル」がお好み。そんな自分にとって、こういうニューメタルと言われるような音楽は、オシャンティー。もちろん良い意味ですよ。とてもCoolに感じるんです。
しっかりヘヴィな音。イントロからゴリッゴリに暴れるベースは、ゴリゴリなんだけれどもどこか躍るようなグルーヴも見せ、乾いたスネアのビートは爽やかな疾走感を感じさせるものの、曲全体としてはどこか湿った雰囲気を感じさせる。
ヴォーカルもKORNとしては比較的キャッチーでメロディを心地よく感じさせる反面、唄われる内容は満たされぬ想い、神様への恨み節のようにも聴こえてくる。
カッコ良くCoolでGroovyに、あーちくしょう!と叫ぶような感覚。
実にロックですねぇ。
英語に明るくない自分は、普通に音としてこの曲を聴いていて、「Got the life」と「God's a lie」とを聴き分けることなんて出来なかった。
「生を手に入れた」だって?「神様は噓つきだ」ってさ。なんともまぁお洒落に世界に反吐を吐くことよ。
実にロックですねぇ。
ロックスターってのは不思議なもので。「満たされない想い」を表現して、世の中に受け入れられて、富や名声を手に入れるわけだけれども。スターになっても変わらず「満たされない想い」を世の中に吐露し続けていく。
それだけに強い渇望を持つからこそロックスターになれるのだろう、とは思う。そんな姿に我々は惹かれるのだろう、とも思う。
でもさぁ...冷静に考えてしまうとよ?
これぞ!という個性を世界に認められて、受け入れられても満たされないという事実。
これってある種の絶望的な事実だと思うんですよねぇ。かといって、「そんなもんだよ、仕方ねぇよなぁ?」なんてしょぼくれた瞬間に、色んな物がつまらなくなってしまう気もする。
無いと解っているゴールを目指して進み続けろってかぁ...それが人間の人間臭さ、面白さってもんだろう?なんて言えるほどの胆力があればなぁ...
そうして今日もまた、自分自身も満たされない想いを垂れ流して生きていく。