マイツの小部屋

陰キャのための音楽ライフ

東京の空_エレファントカシマシ 大都会と、夜更けと、未来へ吹く冷たい風

ちょっと先日の話。ライブのために久方ぶりに東京に行きましてね。ありがたいことに予想に反して帰りの時間に余裕が出来たもので。非日常を存分に感じながら、慣れない東京の夜に浸る時間が得られたのですよ。

全く馴染みのない大都会。近代的なお洒落な街並み。遅い時間にしては大量の、けれども東京であることを考えればまばらとなった人影。ほんの少し前に体験したライブの熱量、落ち着いて冷え切った今、この先に待ち受けるどんよりとした不安。

 

そこでウォークマンが選曲したのが「東京の空」。お前マジで生きてるだろ?

 

エレファントカシマシがまだヒリついていた頃の傑作「東京の空」。このタイミングで、東京の夜に聴くというのは...これまた格別というもの。

東京の空

東京の空

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エレファントカシマシ。出会い方や時期によっては、「熱くてエモめの歌を歌うおじさん達」みたいなイメージを持つ方もいらっしゃるでしょう。それもまた一つの事実ではあるけれど、自分にとっては「緊張感」が一番印象強いですね。

キャラクター然り、ライブの雰囲気然り、音楽への姿勢然り。怖い、とかではないんですよ。切れ味の凄まじい日本刀というか、音楽に対する真剣さがやばいというか。頭のねじが5~6本飛んでるよね?レベル。

 

この曲の独特な歌い方、雰囲気。J-POPに視座を置けば「特徴的」なんだけれども、エレカシに視座を置けば「おぅ、こういうタイプのやつな」という感じ。どこかレトロや昭和を感じさせる雰囲気。その向こうにあるのは質実剛健な力強さと芯の太さ。

 

てかね、この曲約13分あるんですよ。

 

大作メタルにあるような派手な場面転換等は無し。一本筋の通った雰囲気を纏いながら、どこまでも力強く歌い上げていく。後半への展開や盛り上がりは「明らかに見た目で解る」ようなものではないけれど、初めからきちんと楽曲と向き合って聴いたが最後。何とも言えない謎の迫力、圧倒的な「ナニモノカ」に腰を抜かすことになるでしょう。反面、聞き流してしまうと「へー」という曲でしょうね。

 

イントロから流れる濃縮昆布出汁のようなギターの音色。そこへ飛び込んで来る管楽器の突き抜けるような音色。大人感、渋み、哀愁。13分ある楽曲の中でもイントロの数十秒でガッチリとこちらのハートを鷲掴み。

完全に捕まったこちらの琴線に向かって、ミヤジのどこまでも真っすぐな歌声をこれでもかというほど、13分間にわたってぶつけて来るんです。

 

もうやめて!わたしの琴線のライフはもうゼロよ!

 

 

「東京」に住んだことがなく、端から眺めている自分にとって。東京というものはやっぱり典型的なイメージがあります。

多くの人が夢をかなえていく一方で、多くの夢もまた散っている。

イベントいっぱい幸せいっぱい、反面で事件だっていっぱい。

幸せと不幸。成功と失敗。華やかさと仄暗さ。光と闇。清濁全てを丸ごと飲み込んでいく巨大な街の中で、独り歩く自分。この名曲が魂に染み込まないはずもなく。

 

この先に待ち受けるターニングポイント。変化する生活。待ち受けるリスク。どうしたって不安の気持ちが大きくなっていく様を感じる今日この頃。せめて、「そうはいってもそっちの道...なんか面白そうじゃね?」という無邪気な声に、しっかりと耳を傾けて行きたいものです。