マイツの小部屋

陰キャのための音楽ライフ

チラシの裏_033 デスストランディング、クリアしたぞー

少し前になるけれども、PS5のデスストランディング、クリアしましたー。これまでの固定概念をくつがえすような斬新なゲーム性、最新のゲーム性能から繰り出される圧倒的なグラフィックだからこそ展開出来るストーリー性、確かに圧巻の出来でした。

 

しかし一番のインパクトは、大塚明夫という演者のすさまじさでも有りました...

さてさて、まずはそのゲーム部分について。この要素が大き過ぎると、時には「お使いゲー」と揶揄されるてしまうこともある「お使い要素」。これを逆転の発想でメインに据えた本作は、荷物をどこかへ配達するという行為こそを本筋に据えた、何とも斬新なゲーム。

 

と言われているけれど、自分的には事前情報の内から何の違和感もありませんでした。というのも、近代に於いてはゲームには様々なエンターテイメント性が付加されていますよね。時には感動的な物語が、時には爽快なプレイ感が、時には圧倒的なグラフィック、時には至高のゲーム音楽が展開されることが期待されているけれども。自分のようなゲーム黎明期から生存していた中年としては、ですよ?

 

そもそもゲームとは、お使い・架空のタスクを楽しくこなすもの、であるわけで。

 

設定されるルールに従ってスコアを積み重ねていく。

ダンジョンに延々と潜り続けて、レベル上げとアイテム発掘を無限に楽しむ。

そんなプレイスタイルが日常でありましたから、様々な依頼を受けて、様々な配達、タスクを延々と繰り返して行くゲームなんて、そりゃ面白いに決まっているわけです。

 

 

そしてストーリーについてですが、とにかく驚いたのはその設定の妙と作り込み。

『デスストランディング』や『BT』といった独自の用語、独自の設定、独自の世界観が設定されていて、それは常識から大きく外れたフィクション、創作、当然として空想の物語ではあるのだけれど。

映像のすさまじさ、設定の作り込みの綿密さ、様々な要素が絡み合った結果、とんでもなく「妙にリアル」「まるで現実」と錯覚させるようなスケール感なのです。空想と事実が丁寧に編み込まれ、ちゃんとした「架空の理論」に基づき構築されているからなのか、物語で語られる詳細過ぎる内容をしっかりと読み込んでいると...

 

そうかー、昔の地層からそんな物が発掘...いやいやいや!これゲームだから!

 

と「はっ!?」とさせられることが多かったです。

それこそ「ミュール」という存在だってさ、配達依存症?そんな理由でこっちを襲ってくるの?なんだそりゃー、ご都合設定だよなー、なんて思っていましたよ、最初はね?

それがゲームも進んで来ると、素材や落とし物配達目当てで、ミュールの拠点からの物品回収にいそしむ自分が居るわけです。フル装備に身を固めて、「ミュール」と呼ばれる人間集団に対して、非殺傷とはいえ、自ら進んで襲い掛かって行くわけ。

 

あー。今、荷物欲しさに武器を片手に襲撃している...今、自分こそミュールだわ。

 

これも絶対意図して仕込まれているんですよ。製作者側は、「はっとする我々」をにやにやして見ているわけですよ。くそーやりおる。

こんな感じで、まるで壮大なストーリーを作り上げるために練られているような設定の数々が、「ゲームを面白くするために、ゲームを構築するために」作られているということも驚きなんですよ。

 

当たり前だけど、制作者チームはおもろいゲームを創ろうとしているわけで。一番のポイントはゲームが面白いこと。ゲームをプレイするという体験が素晴らしいものになること、が最重要ミッションとして掲げられている。

グラフィックは良いけど、ストーリーは良いけど、ゲームプレイ部分はイマイチだな、とか。そういうことは有り得ないんです。ゲームプレイ部分を面白くするために、その他の要素があるんだから。

ある意味当然な骨組みを当然のように組み上げるこのやり方。色々なことが出来てしまう現代だからこそ、難しいようにも思えるんですよ。心から「ゲーム」が好きな人がゲームを作っているんだなぁ~と感じられる喜びがありました。

 

 

ストーリーの「お話」の部分について。ネタバレは良くないと思うので詳細は書けませんが、よく出来ていましたね。あっと驚く伏線もあったり、謎が謎を呼ぶような要素もあったりしたけれど、それが「練られ過ぎていない」ところも個人的には好みでした。

考察したくなる物語、という物が非常に多い中で、この物語のバランス感覚も実に見事でした。あれこれと楽しく想像、考察したくなる点はたくさんあるけれど、「お話」としてはしっかり種明かしもされていて、もやっとする部分がない。

 

そして小島監督と言えば...物語に胸熱要素がないわけがない!メタルギアシリーズでも、メタルギアやら愛国者やらの難しい設定はありつつも、常に胸を打って来たのは登場人物達の壮絶な「生き様」でした。

今回はチャプター名称のほとんどが登場人物の名称であるように、キャラクターの1人1人に丁寧に焦点を当てて描かれています。敵か?味方か?そもそも敵と味方、善と悪の線引きなんて出来るのか?という点は今作も健在。

逃れることの出来ない大きな流れの中で、それぞれがそれぞれの立場で全力で生き抜いた結果、物語は進むんだけれど。振り返ってみれば、果たして何が正しくて何が過ちだったのか?誰にも解らない。

 

そんな中、私の『涙腺』を強烈に刺激したキャラクターは「ダイハードマン」でした。物語の全編を通して大きく関わって来た重要人物。その背景や物語も確かに魅力に溢れていたんだけれども、

 

大塚明夫という『演ずる者』の圧倒的な破壊力がこちらの涙腺を爆破しました。

 

日本人で良かった。日本語版をプレイして、あのシーンを見ることが出来て良かった。とんでもなくリアルに仕上がったゲームグラフィックと、声を担当する演者の力が1つになった最高のエンターテイメントを魅せてもらいました。

これまでも、アニメーションでは「実写では絶対に描けない物」を描けていたように。映画みたいで良かった、映画に負けていなかった、とかそういう次元ではなく。実写映画では描けないものを、「ゲームでしか得られない体験」をビシビシと体感することが出来ました。

ダイハードマンが抱える様々な物事。吐露する気持ち。感情の在りよう。それを余すことなく表現するグラフィック、そこに載せられるあの声。本物の情念としか思えない圧倒的な迫力。声優さんって、やっぱすげぇわ。

 

 

続編の制作も始まっているようですし、楽しみですねぇ。また新しい土地で、新しい形で、新しい配達が出来ると思うと...ワクワクします。これ、本気なんですよ。物語も気になると言えば気になるけれど、「もっと色んな配達がしたいぞ」というこの気持ち。プレイした方は解ってくれるはず。

 

ちなみに...劇中で語られる「つながる」ということの是非について。これについてはまた想うことがあるのだけれど、それはまたいつか...