マイツの小部屋

陰キャのための音楽ライフ

そして舞台は続く_NoGoD (楽曲タイトルまま)

終わりましたー。本日で現職場への出勤は完了。ちょっとした有給消化の後に、晴れて退職となりました。

理由は色々。この先についての考えも色々。良い想いも、悪い意味も、本当に色々だったこともありまして。この時を迎えた時の自分は、きっとこんな想いに駆られるんだろうな、という予想は有ったんですよ。それがどんぴしゃで当たりましたね。

 

劇的な出来事も感動的な想いも無い。一つの幕が下りて、それでも続いて行くだけ。

 

日本のHR/HM界に実は結構多くいらっしゃる白塗り族のおひとり、苦しみも哀しみもピエロのメイクで覆い隠し、今日もメタルを貫く「団長」率いるNoGoDのアルバム「神劇」のエンディングを飾る「そして舞台は続く」。エンディング、なのだけれども続いて行く。正に今日にぴったりの一曲なのですよ。

そして舞台は続く

そして舞台は続く

  • NoGoD
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

初めてこの曲を聴いた時、一発で心をぶち抜かれました。歌われて行く歌詞の、「言葉としての力」もえげつないのだけれど、その内容や空気を120%に表現したかのようなイントロのギターの音が、好きで好きでたまらないんです。リンクからは聴けないので申し訳ないですけれども。

 

二発のシンバルカウント、コンパクトにまとめられたフィルで開戦の狼煙を上げると、そこへぶち込まれるギターサウンド。この音がね、マジで言葉以上に世界観を切々と語ってくれるのですよ。

メロディとしてはとても綺麗ではありつつ、けれどもどこか寂しさを纏う。その中には、苦しみや迷いのようなものも感じ取れるんだけれども、その向こう側にはゆるぎない決意が垣間見える。しっかりと大地を踏みしめて、己が進むべき茨の道を進む覚悟を決めている。そんな「ギターの音色」がするんですよ。

 

もちろん、歌を聴いて、歌詞の内容を咀嚼したからこそ、振り返ればこの音は!?となるわけだけれども。そうだとしても本当に「物を言う」サウンドとなっております。ギータソロ部でもオープニングのメロディは受け継がれていて、その「苦しみの中の決意感」マシマシになって行きます。

 

音を聴くだけで、あぁ...色々あるけど...頑張って歩き続けよう!と思わせる。

 

正にプロの犯行。幸せを知らない人に幸せは歌えない。苦しみを知らない人には苦しみは歌えない。今も尚、幾つもの「抗えない現実」に揉まれながらも、「自分はこの道を行くんだ!」と決意して歩いて見せている者達だからこそ生み出せる音楽がある。

 

 

それでは、印象的な歌詞を少し抜き出させていただきます。

 

流れて行くのか このまま何もつかめないまま 向こう岸へ渡れぬまま

悲劇にも喜劇にもなれず 滑稽な有様

感動的な結末もなく 照明は落ちていった

観客はもう居ないのにまだ 立ち尽くしているんだ

この舞台は続いて行く

 

何をもって成功というのかは分からない。けれど、確固たるファンを、応援してくれる人達を持ち、しっかりと音楽活動を行っている彼らでも、こんな歌を歌うんだ。

陰キャ中年が、しみったれた会社でちっぽけな仕事を経て、何事もなかったように会社を去った、それだけのこと。

クライマックスなんて訪れない。感動的なBGMだってながれない。エンドロールなんて流れるはずもない。世界は昨日と変わらぬ今日を終え、いつも通りの明日を迎える。

 

それでも、まだこの舞台は続いてく...

 

この現実は残酷でありながら、どこか優しいような気もして。さぁさぁ、少しだけ残しておいた、素敵なお酒をいただきましょう。