私はこれまで40年ちょっと生きて参りました。人生の中では時折、とてもとても大事な場面に偶然遭遇することになります。
長年会っていなかった想い出のひとと町でばったり出会ったり。
偶然立ち寄ったお店で、後に再推しとなるバンドのCDをジャケ買いしたり。
そして、午後のロードショーでコマンドーを放送する日を知ったりします。
みんな大好きコマンドー。特に中年世代の我々の中に、コマンドーが嫌いなやつなんているんでしょうか。いや、居ないでしょう。
午後のロードショー公式Twitterの告知文句は「待ってました!!シュワ大暴れ」ですものね。もうその詳細については推して知るべし。言葉で語るのは無粋と言うものでしょう。
事実、映画本編を見ても余計な説明無し、無駄なシーン無し。とにかくシュワちゃんがその体を持って全てを表現してくれます。
アクション映画ですから、オープニングから事件やキナ臭さが漂うけれども、シュワちゃんの姿が映った瞬間に心配するのは終わりです。
あ、このひと最強だわ。絶対最後まで負けねぇわ。安心して楽しもう。
これって大事ですよ。お子様からお年寄りまでみんなが見られる。心に負担を掛けない程度のスリル感。
そしてコマンドーと言えば...みんな大好きベネットよ!絵に描いたような、理想的な悪役をしっかりと演じて物語を創ってくれる彼、なんと製作30周年記念にコメントを出していたりしたんですねぇ。
なんというか...予想のつかない方向にめちゃくちゃ男前になっている辺り、さすがだぜベネット!
更に更に、コマンドーと言えばみんな大好き名言集!こんな記事があるくらいですから、その名言を挙げ始めたら枚挙にいとまがありません。
『コマンドー』名セリフ人気投票、結果発表!1位は「お前は最後に殺すと約束したな……あれは嘘だ」|シネマトゥデイ (cinematoday.jp)
ここに挙がるような、私の記憶にも鮮明に残っていた名言以外にも、あらためて見ることで味わえるシーンが在りましたので、ここに挙げて置きます。それよそれよ!と思う方もおられるかも知れませんねぇ。
【こっちが風下だ、近付けば解る!】
メイトリクスが襲撃を受けた際に味方の兵との会話にて。匂いを嗅げとでも?聴かれ「そうだ!」と即答するメイトリクス。これがスネークのセリフであれば、何の違和感もなくすっと入って来るのが不思議なところ。
【奴(メイトリクス)が生きていれば(敵側の犠牲者は)まだ増えるはずだ!】
メイトリクスが襲撃を受けた後の将軍(味方)のひと言。どんな心配してんスか?後の「何が始まるんです?」にもつながるこのセリフ。直接説明はしないものの、こういう所からしっかりと匂わせる「あいつが最強感」。上手い演出です。
【手荷物はありますか?いや、これ(メイトリクスを監視する敵役の男)だけだ】
ああ、それは確かに荷物ですね。メイトリクスにとって、監視役である敵側の男は荷物・面倒ゴトでしかなく、自分の脅威とはならない、ということですね。これまたジョーク的なシーンを交えた良き演出。
【だめよ、7:30に空手の稽古があるの】
メイトリクスに協力を懇願され、断るヒロインのセリフ。彼女は少し前のシーンでフライトがキャンセル、食事にも断られてしまたばかり。空手の稽古というのは口から出たでまかせということなのでしょう...が。
ウソか誠か、武術の心得があるという強がりも現れているのか。ヒロインの実は勝気で勇敢な性格が垣間見える、これまた物語の空気創りに重要なシーンですね。
【待って!置いてかないで!】
【君はもういい→私にも手伝わせて!】
ヒロインがある意味メイトリクスから解放された時のやりとり。あらぬ疑いは掛けられるかも知れませんが、普通であればここで警察に保護されて一件落着でしょう。
でも、彼女はその選択をしなかった。先ほどのシーンから続き、彼女一抹の正義感が顔を出し始めます。エンタメとしてのドタバタ感も伴いながら彼女が参戦したことで、物語は動き出すと言って良いでしょう。
彼女が居なければメイトリクスは島までたどり着けなかったのですから。彼女もまた、物語の中で素晴らしきヒロインですよね。
【だったら漕げば良いだろう!→そんなぁ...】
そんな彼女が十八番である飛行機の操縦に突入する際、操縦が上手く出来ないタイプの飛行機だ!と嘆いた時の一幕。完璧超人として描かれているメイトリクスのお茶目な一面が垣間見えます。
そもそも、普通であればこれだけの設定が盛られたメイトリクス。飛行機くらい動かしてしまうでしょう(少なくともエンタメ、映画としてはね)。
けれども、完璧ではない一面をしっかりと作り、その隙にするりと入り込むようなヒロインというキャラクターを用意し、飛行機操縦を任せる。
実は、こうした巧みさがコマンドーを「超有名傑作」に仕上げた一因なのだろうなぁ、と見ていて数十年越しに感心したのです。
シュワちゃんの圧倒的な肉体、ド派手なアクション。これらは確かに欠かせない要素ではあったものの、それだけに従事していては、もっと暑苦しく(既に暑苦しいけれど)、重苦しく、派手なばかりの凡百な映画となってしまったのではないでしょうか。
クライマックスでたっぷりと用意されたアクションシーン。そこではちょっと「うっ」となるような暴力的なシーンも描かれているわけですから、終始この雰囲気で進んでしまっても苦しかったであろう、ということですね。
そうした意味でも、実に「エンタメ」としてしっかりと作られた映画だったんだな。
ド派手でシンプルな筋書きを「バッチリと十分に味わえるように」仕上げられた作品だったんですねぇ。良い映画ですよ。マジで。
もちろん、ド派手部分も最高ですね。イングラム、UZI、M16、M4、AK、G3にデザートイーグルにM60にスペツナズナイフに...と。みんなの「ボクが大好きなミリタリー要素」を全部盛りしたようなやり過ぎ感も実に素晴らしい。
ちなみに個人的なBESTシーンは、
メイトリクスがM60を片手撃ちをしている際に小刻みにゆれる大胸筋なんすわ。