本当に、何なんでしょうね。昨今のネットワークを調整するアルゴリズムってやつ。
何かしら理論があるんでしょう。仕組みがあるんでしょう。統計や確率や、無機質な過程を経て、「お前はこういうのが欲しいんだろう?」とあれこれを進めて来る。
誰か中のひとが居るんじゃないかと思ってしまう巧妙なやり口。
ある日突然、YouTubeおじさんが進めて来るんです。
キャッチーなタイトルとサムネに釣られて見てみると、とても淡々と、リアルに、とあるバンドと、とあるひとの人生の一幕が描かれておりました。
そこに飾りはなく。大がかりな演出もなく。バンドマンらしく、自らの楽曲で締めくくられておりました。
そして、自然と楽曲の方へと誘われて行くのでした。
この時初めて知った、つい先日に解散してしまったというバンド『OLD CIRCUS』の『日々』。
感動するとか、心に響くとか、そういった衝動はまた異なりまして。冷静に、理性と思考にガッツリと食い込み、いつまでも抜けない棘のように、今も脳裏に残り続けているのです。あ、良い意味で、だと思っていますよ。
バンド解散の動画を見た後で、このMVを見たからでしょうかね。独特の読後感と言いますか、このパターンでしか出来ない受け止め方が出来たような気がします。
(動画で見たから)妙に見覚えのある部屋。
(動画で見たから)妙に見覚えのある素の姿。
(動画で見たから)妙に納得してしまう世界感。
まるで、先にエンディングを見てから第一話を見るかのような不思議な感覚。
動画で流れていたライブハウスの映像とは違って、ハッキリとクリアに聴こえる歌声とサウンド。
なんて爽やかなメロディに、なんてリアルな痛みを持つ言葉を乗せやがる。
この痛み、非常にリアルです。
決して切れ味は鋭くないし。
爆発するような破壊力もないし。
柔らかい砂袋で殴られるような、鈍くずっしりとした痛み。
心ではなく、頭にこそ刺さる。
ドラマティックに悲劇に浸ることすら許されない。
淡々と過ぎていく時、流れていく景色、続いて行く人生。
今日も無数の悲劇や惨劇が起きる頭上は爽やかな青空であるように。
清々しさを感じるメロディと、地を這うような現実の言葉。
自然と自身を振り返る。
その感触、感想、想い、解るなぁ。
でも、それは共感なんかじゃないぞ、と自分に警告を鳴らす。
この方は、東京で、自分の意思を持って、バイトで食いつなぎながらバンドをやって、路上で弾き語りもして。MVだって出して、ライブをやって。
そこには拳を突き挙げるお客さんが居て、ひとに色々な物を届けたひとだ。こうして今、私にも届けているように。
はてさて、私自身は一体全体どうだって言うんでしょう。
羨んで、弱音を吐いて、虚しくなって、卑屈になって、自分を裏切って。
今も尚、こうして毎日を〇していく。
すげぇな。身に覚えが有り過ぎる。
脳のあちこちに刺さった棘が、チクリチクリと痛み続けています。
でも...何度も聴いちゃう。音楽って、エンタメって、本当に不思議なものです。