冬を感じる音楽を駆け足で回収していた今日この頃ですが。
このキャンペーンを締めくくる曲は何かな?と考えたところ...
日本の冬と言えばやっぱりこれよ!雪女。
日本のHR/HM界のアンダーグラウンドに鎮座するドゥームメタルマスター、人間椅子から雪女。もう正に冬にぴったりのタイトルと裏腹に、どこまでも凍り付くようで、どこまでも熱いサウンドをお届けしたい。
正直ね、なまはげも悩みました...なまはげもまた、冬のイメージにしっくり来るんですけども。あちらはその楽曲のポテンシャルやナラティブが自分の中で大き過ぎて...冬というくくりで登場するのは少し違うかな...とね。
冬をイメージして、冬をテーマに楽曲を聴くのであれば、ここはやはり雪女だろう、と結論したわけでありまして。
あ、「なまはげ」とか「雪女」とか、楽曲名ですよ、はい。
HR/HMの楽曲に日本ならではの世界をのせていく人間椅子というバンドは、日本の伝統的で土着な要素、それこそなまはげや雪女の楽曲を創るのも十八番というもの。
バンド名よろしく、江戸川乱歩や文学から作られる楽曲も多いものの、恐山、鬼、地獄といった「昔話」的なニュアンスをモチーフとした楽曲も多い。あぁ、そういえば地獄シリーズを1曲もご紹介していないではないか!是非また次の機会に。
さてさてこの楽曲、雪女。タイトルだけを聴くと、風のような笛の音や、冷たく凍るような三味線のような和楽器の音をイメージするでしょうか?安心してください。ゴリゴリのリフが展開される、まごうことなきHR/HMに仕上がっております。
夜の闇に紛れて足音もなく迫り寄る、幽霊のような雰囲気ではないですね。さしずめ猛吹雪と共に、圧倒的な死の薫りをまといながら今正に眼前に現れるもののけの様。
迫力に満ちた、シンプルながらに底抜けの迫力を持つギターリフ。印象的に刻まれるキックの音は、一歩、また一歩ともののけが近づいてくるかのよう。リフとユニゾンするベースが押し上げる迫力も相まって、正に「圧倒的ではないか...」という気分になります。
そして中間部では一転。空気をガラッと変えて、トーンを落として声色を変えて歌われる様は、ベタな表現だけれども「うーらーめーしーやー」的な、「日本の怖いお話」感をしっかりと演出。
と油断させておいてからの、ズタズタに切り裂くかのようギターと一瞬のブレイクを巧みに編み込んだラッシュをぶちかまし、怒涛のギターソロ『和嶋ワールド』へとご案内。HR/HMの激しさと、ブルースのような情緒とを丁寧に編み込んだかのようなこの珠玉の『和嶋ワールド』は、一度体験していただく他ありません。
もちろん、ライブハウスでね?
CDとライブ体験は、駄菓子のビッグカツと三元豚上ロースとんかつ程の差があります。
ひとしきり盛り上がった楽曲は、最後にもう一度怒涛のラッシュを見せたあと、オープニングさながらにメインリフをひっさりと奏でて幕を閉じる。
日本の昔話等のお決まりの終わり方、「〇〇でした...おしまい」の様。この「おしまい」の部分は少しゆっくりと語るニュアンス、伝わるでしょうか?そんな幕引きのイメージとも相まって、良い読後感があるんですよねぇ。