マイツの小部屋

陰キャのための音楽ライフ

帰郷_The冠 最強の漢が放つ郷愁メタル

圧倒的な轟音。最高品質の激重ヘヴィメタル

そこに載せられる、激エモストーリー。

斬新過ぎるローコストなMVは、奇跡的に楽曲の雰囲気にベストマッチ。

 

不思議と楽曲と併せてこのMVも定期的に見たくなるんですよ。

 

現代に戦う漢を描かせたら天下一品。ニッポンのメタルマスターThe冠の帰郷。激しい楽曲で体が熱くなり、静かに胸も熱くなる。中年の方にこそ、是非に。


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The冠と言えば激重サウンドのバチクソメタル。このイントロなんてどうよ?ガッツリ激重のギターサウンドに、地の底から響きあがってくるようなドラム。高音シャウトとはまた違い、唸るような咆哮で楽曲は幕を開ける。

楽曲の背骨となるリフは実にシンプルながらにクソ重い。そこにあるのは華やかな煌めきではなく、黒光りする重厚な鋼鉄の輝き。ズッシリと刻まれるリズムと相まって、ヘヴィメタルとしての旨味は天井知らず。

 

そこに歌謡の雰囲気さえまとう歌声が合わさって行くのが冠スタイル。キャッチーに聴かせる部分の歌声はとても伸びやかで、情緒あふれる歌い回しによってメロディ成分がマシマシされる。

これだけクソ重いのに、歌メロとして聴くことも出来るのがまず普通じゃないんよ。往年のニッポンのヘヴィメタルマスター達は、これをさらっとやってのけるんです。どこまでも重く、激しく、そしてエモい。

 

言葉の良し悪しは別として「ジャパメタ」っていうガチジャンル、ありですよ。

 

 

そしてねぇ、この歌詞と世界観もまた刺さるんだ。出て来る歌詞がマザーファザーよ?マザー〇ッカーじゃないのよ?父さん母さん!って。何気に言葉のチョイスが実に巧妙で、「ヘタクソなメール」っていうのも、よく情景を映していますよね。

我々中年にとっての親世代は、当然ケータイにも触り馴れていない世代ですから。今となってはLINEの時代になったけれども、不思議な「違和感」はありますよ。なんというか不自然、端的に言えばヘタクソ。

 

実家に顔を見せろと繰り返す両親。そうは言っても忙しい日々。そりの合わない嫁。ちょっと倒れる父(このちょっとがまたリアル)。

帰省や帰郷と呼ぶような、遠い物理的な距離感で住んでいる人にとっては、顔を合わせることは容易ではないだろう。年に1~2回?そして自分と親の年齢は?なんて考えてしまえば、会える回数は数えきれてしまうもの。うーん、リアル。

 

 

そして極めつけはこのMV。MVですよ。近年の音楽業界では新曲とMVがセットな雰囲気もあるし、独自性や世界観を描くことが出来る作品の一つでもある。映画のような大作映像を創る人もいれば、CGを駆使して先鋭的な映像を創ることもある。

一方でこの傑作MVはというと。

 

公園のブランコで外回りを終えたハゲが一服するだけの姿。

 

斬新すぎねぇか?楽曲のメインデッシュとも言える必殺のギターソロが流れる場面でも、映像は静かなもの。汗拭いとる場合ちゃうやろがい!

なんて思うんだけれども。けれども、だ。楽曲やテーマ、世界観とこれでもかというほどマッチしているのもまた事実。激しいメタルと裏腹に、この一見のんびりとした風景と、のびやかな歌声が劇的に合うんですよ。

 

どこかふざけるような、外すような、ギャグのような一面もちらつかせつつも、しっかりとやっていることは大真面目。

週の終わり、金曜日にこの曲を聴きながら、「たまには実家帰ろうかな」「ボンカレー食いてぇな」なんて思うのが、The冠ファンのあるあるなのですよ。

帰郷

帰郷

  • THE冠
  • メタル
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes