わたくし、現在求職中という状況でありまして、失業保険の給付のために、ハローワークに通っている最中であります。
住んでいる場所が田舎なもので、ガッチリした手続きはかなり遠い街のハローワークへ赴き、求職活動実績作りのための職業相談については、となり町の出張所的なハローワークでお世話になっております。
この出張所的なハローワーク、職員の方は2~3名程度で、そういうシステムなのかたまたまなのか、いつも私を担当してくださる方が、マダム感のある職員のお方。
「マダム感」というのは年齢の頃合いの比喩でありまして、嫌みな感じ等は全くなく、優しい雰囲気の方なのですよ。
先日、ちょっとした登録をお願いすることになった時。私のメールアドレスをハローワークに登録する必要があったのですが、「_」が入力出来ない、と。アンダーバーはどうやってキーボードで入力するのか、的なことを隣の職員の方に確認する一幕がありました。
アンダーバーも入力出来ないで、ハローワークの相談員かぁ...
というちょっと意地悪な気持ちが、私の心にニョキっと生えてしまいました。この職員の方の背景も、報酬も、雇用状況なんて何一つ知らないくせに、ハローワークという、中々無くなる事の無い安定の仕事に就けて良かったですね、みたいな。
そんな意地悪な気持ちが産まれたのは確かなのですが、不思議とそのマダムに対しての嫌悪感とか、反感は生まれなかったんです。「もっとちゃんとしてくださいよ!」という気持ちではなく、「何だかその生き方、羨ましく見えちゃいますよ~」という気持ち。むしろほっこり?ほのぼの?プラスの感情が働いたんです。
私のこの数年間。個人的に辛い事があって、仕事もやめて、心も病んで、色んなことを考えました。自分に何が出来るのか?とか、多少は世の中の役に立ちたいな、みたいな見栄を張る気持ちも再確認したりとか。
これからどうやって生きる?どんな仕事をする?どんな役割を担って、終わりまでの残り時間に何を見出す?なんていう、かたっくるしい事がぐるぐると渦巻いている私の脳内に、ふわ~っとしたスローボールが投げ込まれた気分です。
パソコンの操作がおぼつかなくたって、ハロワ職員の仕事をしているじゃないか。
こういう方が居るから、自分も失業保険を支給されているわけで。
十二分に世の中の役に立っている、そして自身も生活なされているんだろう。
この時、私の心にほっこり感を生んだのは、「スキル」と呼ぶような類のものではありません。
事務系作業に従事しているのにアンダーバーを入力出来ないという、どちらかというとマイナスな要素が、回り回って顧客?である私にちょっと明るい物をくれました。
自分に出来ることは?自分のスキルは?強みは?市場価値は?生きるマインドは?なんていうテンプレ的な思考なんて、あんまり意味がないのかも知れません。
必ずしもあなたである必要はないけれど、今ここにあなたが居ることで+になったよ。
よく言われることですが、社会や人間関係の有り様なんて、これに帰結しますよね。
仕事をされている方はもちろん誰かの+になりますし。
お店で物を買うひとが居るからお店も成り立つわけですし。
田舎の夜道なんて、遠くの家に灯りが灯っているだけでちょっと安心します。
ブログやSNSでも、いいねのようなリアクションは取らないけれど、心はニヤリとさせてもらった、なんて場面だらけです。
結局、良くも悪くも人間なんて、社会なんてその程度。もっと肩の力を抜きまして、時には見たくない物にはフタをして。ゆらりゆらりと進んで行きたいものです。
是非、次回の職業診断も、このマダムをご指名させていただきたい。
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