世の中は三連休ということもあって、ちょっと知人と会う機会がありまして。数十年生きた者同士、この時期に顔を合わせればオープニングトークデッキは当然...
寒くなったねー。
日も短くなったねー。
寒暖差にやられちゃうよー。
子供の頃。親と大人達の会話やテレビで繰り広げられるトークの中で見られるこの「鉄板」のテーマ。何の感慨も湧きませんでした。
寒くなったね ⇒ 秋だからね。という、なんの広がりもない、「そりゃそうだ」というだけのやり取り。
少し歳を重ねた頃合いでは、こうしたテーマがあたりさわりがなく、誰とでも問題なく繰り広げられる雑談であり、間を埋めたり本題へ入るまでの助走であったり、まるでお通しのような、そんなポジションなのかな、と解釈しておりました。さして重要ではないけどそういうのも必要だよね、という感じ。
けれども生まれてから40年を過ぎた辺りで、こうしたトークテーマにもう少し違った趣を感じるようになりました。決して不変的な見方ではないのでしょうけれど。
昔:最近寒くなったねー。(まぁどうでも良いことだけど、何となく言っておこう)
今:最近寒くなったねー。(いやマジで寒いわ、勘弁だわ、今年も負冬が来るね!)
こんなイメージ。日本では四季がありますから。冷夏や暖冬なんて物はあれど、基本的には周期的に、ほぼ一定の期間で、気候が順番に巡って行く。
これつて...マジでエモくね?
それなりに生きて、経験も積んで、人と人とがひしめく社会の中でもまれ、人が創り出しためんどくさい問題ごとに毎日苦しんでいる日々でも。季節はしっかり巡って、いつものお約束展開が訪れ、良い面も悪い面もバッチリ来てくれる。
温かいコタツ、美味しい鍋、世間がほんわりと良い空気に包まれる年末年始付近のイベントラッシュ。その季節が発生する発端が、惑星やら地軸やら壮大な大自然や宇宙に起因しているという事実。
語彙力なくて申し訳ないけれど...マジでエモくね?
歳を重ねると花鳥風月が美しく見えると言いますよね。人生の前半戦は目に飛び込んで来る刺激的な光に魅入られ、舞台の上で発生する各種イベントがこの世の全てのように感じて行くけれども。
ふと落ち着いて、視線を移すと、この舞台そのもののエモさに惹かれる...とでも言うんですかね。自分も、自分が巻き起こすイベントも、まぁまぁ大した物ではなく終わりそうだけれども...それにしてもこの舞台自体、マジでやばくね?という気付き。
今日は雨の中で、特に冷え込んでいる感触があります。
今私が「寒くなりましたね」のひと言を発する時。想像以上に、真剣に、寒くなって行く季節の変化に感嘆の思いが載っているような気がするんです。
この先、生きていたって別に何が起こるわけでもない、つまらない人生...と思う瞬間もあるけれど。少なくとも季節が変わるイベントは確定で待っているわけです。
まずは生きていて。そこに季節が流れて。目や、耳や、口に入る物が変わって行って。
それだけで良いんだろうな。それだけでスゴイことだし、ちゃんと楽しもうと構えることが出来れば、めちゃくちゃ楽しいんだろうなぁ。
めっきり寒くなりましたね。
そんな今日、私は辛辛魚のまぜそばに挑戦して、唇が完全にタヒんでおります。
皆様はいかがお過ごしでしょうか。