ゴミ捨てを終え、ふと思ったので書いてみます。
自分の中で、人生の中でとても大きな大きな記憶と印象を持つ道が2つあるのです。
ひとつは、自宅からゴミ捨て場までの短い道。
もうひとつは、自宅の中、私の寝室からトイレへ至る短い廊下。
ゴミ捨て場までの道は、何度も2人で歩いた道。
病状も進み体調も悪化する中、世の中はコロナの真っ只中。
せめてものおでかけ。せめてものお散歩。2人で並んで歩く道。
ゴミ捨てに行くたびに「行く?」「行く~」と言葉を交わして、暗い夜道を歩くほんの1数分間。
いつかこの時が終わりを迎えた後もまた、私は独りでこの道を歩くのだろうな...
寝室からトイレへの廊下。真夜中に何度も1で歩いた道。
ロクに眠れるわけもなく。これから待ち受ける苦難と結末を何度も想像して。
色取り取りの悪夢を見てはうなされて。
苦しみとは裏腹に「今、今日のこの夜はまだ、2人で居られるんだ」という安堵を感じながら歩いた廊下。
いつかこの時が終わりを迎えた後もまた、私は独りでこの道を歩くのだろうな...
当然、生きていればゴミ捨てに行き、トイレにも行きます。今日もまた、この道を歩いて一週間を終える私。
想像していた通りに独り、このふたつの道を歩く自分。
あの頃は想像することは出来なかった、新しい生活を送りながら。
今日この日この時の苦しみは、あの時よりも小さくなって。
代わりに、今この時の喜びも、あの時よりも小さくなって。
満たされた幸せでもなく、苦しみだけの不幸でもなく。
喜びでも悲しみでもなく。
何とも言えない、淡い淡い感情を抱きながら、三月の夜風に浸って帰宅した今。
人生って、何なんだろうなぁ。
この先、どうなるんだろうなぁ。
まぁいいや。コーヒーでも飲んで。寝よ寝よ。