歌が上手い。この言葉には色々なパターンというか、意味合いがありますよね?
声量が凄いとか、音域が広いとか。
表現力が豊かだとか、声質が魅力的だとか、本当に色々。
このジグザク(すいません、簡単な表記にさせてもらいますね)のヴォーカル、命様はもう、なんというか、
唄うっていう行為の技術力が半端ない。
ジグザクが送る忘却の彼方。この人、歌がうめぇよぉ?
以前、ジグザクの「いいこいいこして」という曲を紹介しましたが...御覧の通り、雰囲気がまるで違う。
時には優しく、時には激しく、ある時はスタイリッシュに、ある時はデスヴォイスで。
本当にこの方の「歌唱の幅」はめちゃくちゃ広い。東京ドーム3個分くらいはありそうだ。
この忘却の彼方。「聴かせる」歌となっております。
メインディッシュはその圧倒的な歌唱力でありつつ、ガッツリしっかり骨太バンドサウンドを引っ提げてくるから困る。
この曲のヴォーカルでは、少しがなるような、ワイルドな歌い方で攻めてくる。
いいこいいこして~なんて優しく唄っていると思ったらコレだよ。惚れるだろ。
これだけ良い声のヴォーカルなら、とにかく歌声を聴かせるぜぇ?っていうMIXをしがちなのが日本の音楽業界(それも一昔前の話かもしれん)。
ところがどっこい(これも一昔前の表現かもしれん)、ダンディな歌声がびしびし攻めて来るところでも、ちゃんとギターもガシガシと攻めて来る。
ヴォーカルの音量でかめでバックサウンド控えめで、なんてぬるいMIXはして来ません。これによって歌声が聞こえにくくなる?なんてことはなく、その迫力は倍率どん!更に倍!(もはや平成世代以降は置いてきぼり)
これだけ「歌」が凄いヴォーカルをバンドとして表現してくれるジグザク。超ありがてぇ。
ちなみにバンドメンバーもかなりエグめで確かな実力。
ドラムの人とかさぁ、そのシンプル構成でたたき出す手数・音数じゃないんよ。
ベースの人とかさぁ...は?なにそれ可愛過ぎね?
いいこいいこして、の時もそうでしたが、歌詞の世界観もまた油断ならない。
イケボで唄われるその歌詞は、
神様が仮に存在するのなら、愉快な方だ。哀しみを知らないんだろう。
ふぅー!カッコいい!ってなもんですが...そんな一面を表に出しつつも、その歌詞の世界は「決して軽くはないもの」を根底に感じさせる。
少しずつ少しずつ、遠くなっていく、過去になっていく記憶。
君もジグザクが好きで、よく聴いていたよなぁ。
逃れられない運命に直面し、自由に動くことも出来ず、感染症禍で社会的にも拘束されてしまった日々。
そんな生活のために用意した、新しいベッドに横たわり、自由に出来ることと言えば音楽を聴くことくらい。この曲もよく流れていたな。
そしてこの歌は、いつもいつもこうして締めくくられていく。
忘却の彼方へ 消えて行け 消えていけ 空虚なそらよ
気付いてるならばこたえてくれ
華やかな世界の 片隅で 溺れて行く
僅かな命の 僅かな声が
聴こえていますか?
聴こえますか?